VoyagerGuitarsのアコースティックギター製作考

アコースティックギター製作、ヴォイシング・タップチューニングその他いろいろ~ヴォイジャーギターズ~

エポキシ樹脂によるアコースティックギター用ピックガードの作り方

ヴォイジャーギターズの特徴の一つにもなっている自作のアコースティックギター用ピックガードですが、ギターフェス等で同業者やギタークラフトの学生さんから「どうやって作ってるのですか?」と聞かれることが多いのでここでシェアしたいと思います。

この方法はもともとアメリカのギター製作家ジョン・グレーベン氏の考案によるトーティス(Tor-tis)ピックガードから着想を得て自分なりに実験を繰り返し開発した手法です。 アコースティックギターブック31の付録DVDにご本人がピックガードを作っている様子が収録されています。

まず材料ですが

システムスリー 低粘度エポキシ SB-112
TransTint Liquid Dye トランスティント染料

の2つです。
SB-112エポキシは国内でもヒロウッデンカヌーショップさんにて購入可能です。
このエポキシを選んだ理由としてはギター塗装の際に目止めとして当方で使用しているという事と、紫外線吸収材が含まれているので耐久性の面でほかの物より良いと考えたからです。

まだ試していないのですが国内のレジンクラフトでよく使われるデブコンETなどでも製作可能と思われます。

トランスティントの染料はLMIにて購入できます。この染料は水、シェラック、水性塗料、油性塗料など様々なものに使える優れものです。他の染料も試してみましたが気泡の発生や硬化後の肉痩せなどの面で一番使いやすいと思いました。

あとは器具の拭き取り等にアルコールがあると便利です。

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 手順としてはまずピックガードの型を制作します。エポキシを型に流し込むのですが”土手”は必要なく平らな板で大丈夫です。表面張力でエッジがいい感じにテロっとなりますので完成後に面取りの必要もありません。材質はエポキシの接着しにくいポリペンコアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン等が使えます。レジンクラフトでは型の剥離剤としてシリコンスプレーを塗布する場合もありますがピックガードの場合はボディに接着するときに裏面に貼る両面テープが付かなくなってしまうので使用しない方が良いです。

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 エポキシの主剤と硬化剤を混ぜます。このエポキシは混合比がとてもシビアで適当に混ぜると硬化不良になりますので精密なハカリを使って行います。1枚のピックガードに必要なエポキシの量ですがティアドロップで20g(例えば主剤14g:硬化剤6.16g、合計20.16g)もあれば十分です。

次にエポキシに染料を混ぜベースとなる色を作ります。それを型全体に伸ばします。ピックガードの厚みは大体ここで決まります。薄いと反り易くなるのでトーティスと同じように1mmくらいはあった方が良いでしょう。残りのエポキシにさらに染料を追加して任意のパターンを描きます。

そして最後にガストーチであぶり気泡を抜きます。あくまでもさっとあぶる感じです。気温の高い時はエポキシが柔らかいので気泡も抜けやすいです。冬場は混合前にエポキシを湯煎にして温めるなどの工夫が必要です。

そして完全に硬化したら型とピックガードの間にパレットナイフなどを差し込み外します。このとき少しドライヤーなどで温めてピックガードを柔らかくしておいた方が割れるリスクが減ります。

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この状態で完成でも良いのですが若干、色の濃い部分が痩せて平滑さに欠けます。
表面を研磨して平滑にしたいところですが気泡が完全に抜けていないと研磨の際にプツプツと白い点が出てきてしまいます。ウレタン塗装が泡を噴いた時のようなの感じです。

なので現状ではこの状態から表面にラッカー塗装を施しています。長く使っていて表面のラッカーにクラックができたりするのもそれはそれで味かと…。

真空ポンプとデシケータを使い完璧に脱泡できれば表面研磨で仕上げられるのではないかと考えています(今後の課題です)。

塗装後、磨きをかけて完成です。裏面も両面テープ貼り付け前に軽くコンパウンドで磨いておくと透明度が増します。ちなみに両面テープは3Mの467MPを使っています(LMIで購入可能)。

ベッコウ柄、ファイヤーストライプなど市販品にない柄や形が自由に作れますし調色も楽しいです。あらかじめ切り出した貝を型に配置した状態でエポキシを流し込みインレイ入りのピックガードを作ることも可能と思います(これも今後の課題)。


エポキシ樹脂ピックガードの作り方 How to make your own Pickguard