VoyagerGuitarsのアコースティックギター製作考

アコースティックギター製作、ヴォイシング・タップチューニングその他いろいろ~ヴォイジャーギターズ~

ブレイシングの断面形状

ギター ブレーシング 断面形状


ブレイシング(力木)の断面図です。

AとBのブレイシング、断面積は同じ=同じ木なら重さも同じ、ですが剛性が高いのはBです。

専門的なことは「断面係数」とか「梁のたわみ計算」などで検索すれば出てくると思います。自分の理解している範囲でギター製作に関して説明すると

ブレイシングの断面形状の横幅が2倍になると強さも2倍になります。
高さは2倍になると強さはその3乗=8倍になります。高さが3倍になれば3³で27倍になります。

AとBのブレイシングの強さを比較すると、BはAに対して幅は1/2、高さは2倍です。幅の分だけ強さは半分になります。高さは2³で8倍。
1/2×8で4倍の強さという事になります。同じ断面積でもそれだけの差があります。

もう一例。高さが18mmのブレイシングがあります。14mmまで削って低くしたとします。たった4mmで強さはおよそ47%ほどになってしまうのです。
計算式は14÷18=0.7777、0.7777³=0.47

スキャロップ加工が表板の剛性に与える影響の大きさが分かります。

さて次に断面形状が三角形のCのブレイシングです。
三角形にした場合、Bの長方形と同じ強さを得るには高さを1.44倍する必要があるそうです。強さは同じですが一方で断面積は5×20=100mm²に対して5×28.8÷2=72mm²と三角形のほうが72%になっていて重量を軽くすることができます。

断面形状を変えることによりブレイシングの重量と強さのバランスを変えることができます。

表板の厚みに関しても同じで3.0mmを2.7mmに薄くすると、0.3mmの違いですが計算上は28%も強度が落ちることになります。

このことを理解したうえで板厚の決定、スキャロップ加工をすることが重要と思います。