アコースティックギター表板のヴォイシング、タップチューニングその2
ヴォイジャーギターズで行っているヴォイシングの方法です。
ブレイシングはある程度整形をして背が高めのままにしておきます。この状態で表板と横板を接着しモールドに固定して行います。スキャロップ加工もこの時点ではしていません。
ここからタップトーンを聞いてブレイシングを削り表板の強度、響きを調整していきます。後々のためにタップトーンは録音し、データとして保存しています。
調整前のタップトーンを聞いてみましょう。
トントンと音程が高く、音に伸びがないのが分かります。
この音を周波数解析したのが下の画像です。
これをブレイシングを削り調整していくとこうなります。
先ほどより音程が下がり音に伸びが出ているのが分かると思います。
製作家によってはこのタップトーンを特定の音程に合わせたり、トップとバックのタップトーンの音程差を2度とか7度とか決めている方もいるみたいです。個人的に今のところはモノポールの周波数をある程度の目安にして、あとは全体的な響きを確認しているぐらいです。「ブレイシングの断面形状」で書いたようにブレイシングの高さが変わると剛性が大きく変化するのでそこを意識しながら、場所によって極端に剛性の強弱が付かないように気を付けて削っています。
調整後のブレイシングです。このように「音」で表板を調整していきますのでここが何mmという寸法はこの作業ではあまり気にしません。
この後に続く作業(研磨、塗装、ブリッジ貼り付け)で表板の振動パターン、共振周波数が変化しますし、裏板がついてボディが箱になるとまたお互いに影響しますのでこの状態でのタップトーンとギター完成時の音との相関関係を把握する必要があると思います。